資材の活用術 【猛暑対策】お金をかけず「暑さに強い畑」に|世界の農家に学ぶ遮光×マルチ×保水

2026-08-30
【猛暑対策】お金をかけず「暑さに強い畑」に|世界の農家に学ぶ遮光×マルチ×保水
世界の農家に学ぶ猛暑対策・暑さに強い畑のつくり方

▼こんなお悩みを持つ方におすすめ

✓ 毎年の猛暑で、灌水や日焼け・高温障害への対応に頭を悩ませている方

お金をかけずにできる暑さ対策のヒントがほしい方

✓ 「猛暑に強い畑」を、これからの経営や販売の強みに変えていきたい方

小西 到也

坂ノ途中の研究室 | 接点を持ったメーカー・生産者200社以上

小西 到也

≫執筆者プロフィール

今年の夏も、畑に立っているだけで体力を奪われるような厳しい暑さが続きましたね。
今回は世界の農家の猛暑対策を手がかりに、お金をかけずにできる「暑さに強い畑」のつくり方を特集します!

畑に立っているだけで体力を奪われるような日が続くと、「作物も同じようにしんどいだろうな」と感じます。
もはや異常気象というより、毎年の前提として向き合っていくもの——そんな感覚の方も多いのではないでしょうか。

実はこの猛暑、日本だけの話ではありません。
世界各地の農家が、それぞれのやり方で暑さと向き合っています。

今回は、フランス・中央アジア/南アジア・スペインの事例を手がかりに、「猛暑の下でも収穫を安定させるヒント」を整理してみます。
最先端の技術から、お金をかけない昔ながらの知恵まで。
読み終わるころには、この夏の畑を少し違う目で見られるかもしれません。

世界の農家は、暑さとどう向き合っているのか

【フランス】太陽光パネルで「必要な分だけ」日陰をつくる

まずは技術の話から。
フランスでは、作物の上に太陽光パネルを設置して発電と農業を両立させる「アグリボルタイクス(営農型太陽光発電)」が、実験段階を超えて広がっています。

特にワイン用ブドウの畑でも導入が進んでいて、パネルで日射と蒸発を抑えることで、報告では節水効果が平均で約41%(条件により最大60%)、株まわりの温度が最大2℃ほど低くなったとされています。

(※フランスの特定条件下での試験結果で、日本の圃場で同じ効果が出ることを保証するものではありません。)

ポイントは「日陰=収量減」という思い込みを覆している点です。
一日中ふさぐのではなく、日射を見ながら必要なときだけ・必要な分だけ遮る。
この「動的な遮光」という発想は、規模の大小を問わずヒントになります。

日本でも同じように営農型太陽光発電を活用しながら栽培を行い、売電収益を得たり、電力を自家消費してハウスの加温に使うなど、似たような事例も出てきております。

日本では、低コストな寒冷紗とマルチの合わせ技で、この考え方を応用できます(詳しくは後半で)。

【中央アジア・南アジア】お金をかけない、現場発の知恵

一方で、高価な設備に手が届かない小規模農家が、伝統的な知恵と有機的な工夫で暑さに適応している地域もあります。

たとえば中央アジア・キルギスの高地では、雪解けの早期化や熱波によって土壌の過熱・不作が起きています。
そこで農家は、作付け時期をずらす、乾燥に強い作物を取り入れる、収入源を複数もつ、といった「農家主導の工夫」で乗り切ろうとしています。

インド北東部の丘陵地帯でも、マルチング(敷きわら等での被覆)や遮光の管理、播種時期の調整、雨水の貯留といった小さな対策の積み重ねが取り組まれています。

インドで広がる自然農法では、牛糞尿を使った種子処理や微生物資材で土を元気にし、被覆作物やマルチで土の保水力を高める工夫が特徴です。
あわせて、地域ぐるみで在来種を保存・共有する動きも各地で進んでいます。

共通しているのは、「土の保水力を上げる」「播種時期をずらす」「暑さに強い在来種を活かす」という、低コストで今日から試せる対策の積み重ねです。

【スペイン】土を「資産」に変える再生型のオリーブ栽培

スペインは干ばつが深刻で、スペイン政府は、国連砂漠化対処条約(UNCCD)の乾燥度分類にもとづき、国土の約74%が砂漠化の影響を受けやすいとしています。
とりわけオリーブの一大産地では、高温と乾燥の影響が経営を直撃しています。

そんななか、耕さずに表土を守る「不耕起栽培」や、剪定枝を土に還して有機物を補う農家が現れています。
あるオリーブ農家は、再生型の農法に切り替えたことで除草剤・肥料のコストを年間およそ1万ユーロ削減しました。

この取り組みを支援するプログラムでは、参加するオリーブ農家が2023年にカーボンクレジットで1ヘクタールあたり平均70ユーロの収入を得ており、新たな収益源にもなっています(価格は市場で変動します)。

この地域の農家組織では、250を超える農家が1万5000ヘクタール超で、テラス栽培や等高線に沿った溝づくり、樹下の緑肥被覆などに取り組んでいます。

ここでの発想は「土そのものを経営資産として育てる」こと。
技術を入れるだけでなく、コスト削減や新たな収益と結びつけることで、暑さ対策への投資が続けやすくなっています。

日本の私たちにできること

フランスの「動的な遮光」も、南アジア・スペインの「土と在来知の工夫」も、めざす方向は同じです。
それは「過剰な熱と乾燥だけを、選んで和らげる」こと。

もちろん、気候も土も制度も違うので、日本でそのまま同じ結果になるわけではありません。
あくまで考え方のヒントとして受け取っていただければと思います。

高価な設備がなくても、遮光・被覆・保水の3つを組み合わせれば、中小規模の畑でも十分に応用できます。

【現場】低コストな遮光×マルチの合わせ技

高温期だけ、遮光率30%前後の寒冷紗を展開する。
畝間には敷きわらや刈草マルチを厚めに施す。
剪定枝や残渣を圃場に還して土の保水力・微生物の働きを高める——これだけでも、灌水の回数を抑えながら地温の上がりすぎを和らげられます

予算に余裕があれば、欧米でも利用が進んでいる保水力を高める「EFポリマー」を活用したり、地温の上がりすぎを抑える「サステナマルチ」を活用する選択肢もありそうです。
またフランスの事例のように、圃場の一角でソーラーシェアリングを試してみる、という選択肢もあります。

EFポリマー

① EFポリマー

欧米でも利用が進む、保水力を高める土壌改良材です。
土の水もちを良くすることで、灌水の回数や量をできるだけ抑えたい高温期の水管理をサポートします。

≫詳細、ご注文はこちら
サステナマルチ

② サステナマルチ

地温の上がりすぎをやわらげたいときに使える、紙製のマルチフィルムです。
畝を覆って土の乾きと高温を抑えられ、手作業や労働生産性を重視したい方の暑さ対策の選択肢になります。

≫詳細、ご注文はこちら

今週のひとこと

猛暑は「敵」ではなく、土づくりと経営を見直す絶好のきっかけかもしれません。
フランスの最先端技術も、中央アジア・南アジアの昔ながらの知恵も、行き着く先は同じ——「土を守れば、作物も経営も守られる」。

今週はまず、圃場の一角にマルチを厚めに敷いてみることから始めてみませんか。

ご購入希望やご質問は、LINEよりお問い合わせください!

畑の土質や栽培品目に合わせた、マルチ資材や寒冷紗の選び方もご提案できます。
暑さ対策のご相談は、LINEでお気軽にどうぞ。お待ちしております!

LINEお問い合わせ

よくある質問

Q1. 遮光をすると、光が足りずに収量が落ちませんか?

一日中ふさぐと光不足になりますが、パネルの角度などを工夫することで日光を確保し、遮光効果を期待することも可能です。

Q2. マルチは何を使えばいいですか?

敷きわらや刈草など、身近な有機物でも代用可能です。
畝間に厚めに敷くと、地温の上昇と土の乾きをやわらげ、分解されれば土の有機物にもなります。
剪定枝や収穫残渣を圃場に還すのも効果的です。
もし労働生産性などを重視される場合は、ご紹介したサステナマルチもご検討ください。

Q3. ソーラーシェアリング(営農型太陽光)は、日本の農家でも導入できますか?

はい、規模や目的に応じた導入が可能です。
「売電収入を得て経営を安定させたい」「遮光・日よけ対策として活用したい」など、目的はさまざまです。
坂ノ途中でも導入に関するご相談を承っておりますので、ご興味のある方はお気軽にLINEよりご連絡ください。

参考・引用元

・Vinetur「French vineyards cut water use by up to 60% with agrivoltaic technology amid record drought」(ブドウ畑の節水 平均41%・最大60%/株まわり温度−2℃、2025年)
https://www.vinetur.com/en/2025112693710/french-vineyards-cut-water-use-by-up-to-60-with-agrivoltaic-technology-amid-record-drought.html

・スペイン政府 La Moncloa「Spain to host the World Day to Combat Desertification and Drought 2022」(国土の約74%が砂漠化の影響を受けやすい/国連砂漠化対処条約UNCCDの乾燥度分類にもとづく政府公式値、2022年)
https://www.lamoncloa.gob.es/lang/en/gobierno/news/Paginas/2022/20220610_desert-drought-day.aspx

・Climate Farmers「How Fermín is transitioning his farm to regenerative agriculture in Spain」(オリーブ農家のコスト年約1万ユーロ削減/カーボンクレジット1haあたり平均70ユーロ・2023年)
https://www.climatefarmers.org/blog/how-fermin-is-transitioning-his-farm-to-regenerative-agriculture-in-spain/

・Mongabay「Battling desertification, bringing soil back to life in semiarid Spain」(農家組織 AlVelAl:250農家超・1万5000ha超、2023年)
https://news.mongabay.com/2023/10/battling-desertification-bringing-soil-back-to-life-in-semiarid-spain/

新着情報一覧へ