良質な堆肥を作る!微生物の「住みやすさ」を左右する4つの管理と「切り返し」の重要性──『つちの学校』に通い始めました(第9回)

良質な堆肥を作る!微生物の「住みやすさ」を左右する4つの管理と「切り返し」の重要性──『つちの学校』に通い始めました(第9回)

2026-02-05

微生物が住みたくなる家づくり

▼こんなお悩みを持つ方におすすめ

温度・水分・見た目・臭いで堆肥の状態を見極めたい

「切り返し」の意味や、いつ・なぜ行うのかを理解したい

✓ 堆肥から嫌な臭い(ドブ臭)がして、原因と対処法を知りたい

小西到也

坂ノ途中の研究室 | 接点を持ったメーカー・生産者200社以上

小西 到也

≫執筆者プロフィール

「土の学校」での実習も、第9回を迎え、現地実習は最終回を迎えました。
3回目にもなると、白川町に行くのに慣れてきたなーというタイミングで、現地に伺うのが最後になるのはさみしい気持ちになりました。


当日は、前回よりは涼しさを感じたものの、日中はまだまだ猛暑でした。
実習は照りつける太陽の下、ニンジンの間引きと種まきを行い、座学では「微生物の管理方法」を学びました。
良い堆肥を作るには、微生物たちにとって居心地の良い環境を整える「おもてなし」が不可欠でした。

1. 微生物の「住みやすさ」を左右する、4つの管理

堆肥づくりは、私たちが何かを作るというより、微生物たちが活動しやすいように「お膳立て」をする作業に似ています。
講義では、そのための4つのポイントを学びました。

  • 温度管理:微生物が活発に動くと熱が出ます。今のステージが、彼らにとって熱すぎないか、あるいは冷めすぎていないかをチェックします。
  • 水分管理:乾きすぎても、濡れすぎても彼らは動けません。理想は「水分60%前後」。手でギュッと握って、団子状になり、じわっと水がにじむくらいが目安です。
  • 視覚管理:色や粒の状態を見て、分解が順調に進んでいるかを確認します。
  • 臭気管理:実はこれが一番分かりやすい指標です。甘い香りがすれば順調。もしドブのような嫌な臭いがしたら、それは空気が足りずに「腐敗」に向かっているサインです。

2. 微生物の味方、「切り返し」という名の深呼吸

堆肥の山を混ぜ合わせる「切り返し」。
この重労働には、実は微生物たちを救う大切な意味がありました。

堆肥の中は、微生物たちの活動によってすぐに酸素が足りなくなってしまいます。
酸素がなくなると、悪臭の原因となる「嫌気性菌」が増えてしまいます。
そこで「切り返し」を行うことで、新鮮な空気を送り込み、彼らが深呼吸できるようにしてあげるのです。

また、切り返しには「水分のムラをなくす」役割もあります。
外側が乾燥しすぎる「焼け堆肥」を防ぎ、全体を均質に発酵させることで、どこを触っても温かく、ふかふかな堆肥へと育っていきます。

3. 失敗から学ぶ「おもてなし」のコツ

講義の中での「トラブルシューティング」がとても印象的でした。
例えば、良かれと思って「食物残渣」や「オカラ」を大量に投入すると、バランスが崩れて急激に悪臭がしてしまうことがあります。
これは、人間がご馳走をいきなり食べ過ぎてお腹を壊すのと同じ。
微生物たちも、炭素と窒素のバランス(C/N比)が整った、バランスの良い食事を求めているのです。
健康的な生活がもっとも微生物を生き生きさせるようです。

「今、微生物たちは心地よく働けているかな?」と問いかけること。
白川町の厳しい暑さの中で、汗を拭いながら学んだこの視点は、きっとこれからの私の土づくりを支える大きな指針になるはずです。

現地での実習は最後でしたが、私たちの学びのリレーはまだまだ続きます。
次回は、いよいよ「堆肥の完熟テスト」について。
出来上がった堆肥が本当に「良い状態」なのか、その見極め方をレポートします!

▼ポイント

管理すべきは「温度・水分・視覚・臭気」の4つ。熱すぎ・冷めすぎ、乾きすぎ・濡れすぎがないか、色や粒の状態、嫌な臭いがしないかをチェックして微生物が活動しやすい環境を保つ。

理想の水分量は60%前後。手でギュッと握って団子状になり、じわっと水がにじむくらいがちょうど良い状態。

切り返しは新鮮な空気を送り込む作業。悪臭のもとになる嫌気性菌の増殖を防ぎ、水分のムラをなくして「焼け堆肥」を防ぎ、全体を均質に発酵させる。

ドブ臭は「腐敗」に向かうサイン。切り返して酸素を送り込み、C/N比が崩れていないか見直す。順調なときは甘い香りがする。


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