畑の土をふかふかに!堆肥が引き起こす「団粒化」の仕組みと、理想の土を作る原料の選び方──『つちの学校』に通い始めました(第8回)
2026-01-15
▼こんなお悩みを持つ方におすすめ
✓ 米ぬか・油かす・魚粕・もみがら・バークなど、原料ごとの効果を使い分けたい
✓ 「団粒化」でふかふかの土をつくる仕組みを知りたい
✓ 堆肥を入れてもすぐ結果が出ず、堆肥の本当の役割を知りたい
前回は「堆肥ができるまで」の微生物リレーについて学びました。
今回はその続き。
完成した堆肥をいよいよ土に入れたとき、土の中では一体どんな変化が起きているか?を学びました。
「堆肥投入」=栄養補給、だけではなく、土に「新しい循環のスイッチ」を入れることでした。
1. 堆肥の個性を決める「材料」の履歴書
まずは、私たちが堆肥作りに使う材料たちを深掘りしました。
「何を入れるか」で、出来上がる堆肥の性格が変わるのが面白いところです。
- 米ぬか:微生物にとっての「超特急エネルギー」。窒素やリンが豊富で、分解をぐんと加速させてくれるスターターです。
- 油かす:窒素成分が非常に高く、肥料としての力が強い優等生。植物をしっかり育てたいときの強い味方です。
- 魚粕(ぎょかす):アミノ酸が豊富で、これを入れると野菜の食味や色艶が良くなると言われています。まさに「隠し味」ですね。
- もみがら:栄養は少ないけれど、硬くて分解されにくいのが長所。土の中に隙間を作り、空気や水の通り道を確保する「骨格」になります。
- バーク(樹皮):木から剥がれた皮の部分。分解に時間はかかりますが、土の中にじっくりと「腐植(ふしょく)」を蓄えてくれます。
- 稲わら・落ち葉:土着の微生物たちにとって馴染み深い「伝統的な主食」。ゆっくり分解されながら、土の団結力を高めてくれます。
自分の畑が「少し固いな」と思えば繊維質の多いものを、「もっと元気にしたい」と思えば栄養価の高いものを。
材料選びは、土へのラブレターのようなものかもしれません。
ちなみに高谷さんの堆肥作りで特徴的な原料に「土」があります。
家に使われていた壁土をわざわざ仕入れているそうです。
2. 土に還るということ:堆肥を入れた後の「静かな革命」
堆肥を土に混ぜると、堆肥に含まれる有機物は、土の中の微生物によってさらに細かく分解されていきます。
この過程で生まれるのが、ネバネバとした「糊(のり)」のような物質。
これが土の粒子同士をくっつけ、小さな団子のような塊を作る「団粒化(だんりゅうか)」を促します。
この「団粒」ができると、土はふかふかになり、根が伸びやすく、水持ちも水はけも良い理想的な状態へと変わっていきます。
さらに、役割を終えた微生物たちは、やがて自らも土の栄養(腐植)へと還っていきます。
3. 堆肥は「肥料」ではなく「環境」
今回の講義で一番心に残ったのは、「堆肥は単なる『肥料』ではない」という言葉でした。
堆肥の本当の役割は、微生物たちが心地よく暮らせる「住まい」と「仕組み」を整えること。
「堆肥を入れたから、すぐに野菜が大きく育つ」という結果だけを追うのではなく、その先にある「土が自ら豊かになろうとする力」を信じて、環境を整えてあげる。
土の中の目に見えない住人たちが、せっせと庭園を整えている姿を想像すると、畑に立つのが少し楽しくなりませんか?
▼ポイント
・土を柔らかくしたいなら繊維質の原料。もみがらや稲わら・落ち葉が土の中に隙間(空気や水の通り道)をつくり、団粒構造を育てる骨格になる。
・しっかり育てたいなら窒素豊富な原料。窒素成分の高い油かすや窒素・リンが豊富な米ぬかが向く。食味や色艶を良くしたいときはアミノ酸豊富な魚粕を隠し味に。
・堆肥は「肥料」ではなく「環境」。すぐに効果が出ないのは、微生物が心地よく暮らせる住まいと仕組みを整えるものだから。土が自ら豊かになろうとする力を育てると考える。
・団粒化は理想の土をつくる鍵。堆肥の有機物が分解される過程で生まれるネバネバした糊が土の粒子をくっつけ、小さな団子状の塊をつくる。団粒ができると土はふかふかになり、根が伸びやすく、水持ちも水はけも良い状態になる。
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