C/N比25が鍵!堆肥の原料構成と、有機物を「完熟」に変える微生物リレーの全貌──『つちの学校』に通い始めました(第7回)
2025-12-18
▼こんなお悩みを持つ方におすすめ
✓ 「C/N比(炭素と窒素のバランス)」の意味と、目標値の考え方を理解したい
✓ 米ぬか・もみがら・家畜糞など、それぞれの原料の役割を整理したい
✓ 堆肥が発酵して温度が変わる仕組みを知りたい
✓ 未熟な堆肥が「完熟堆肥」に変化するプロセスを学びたい
前回は「堆肥とは何か?」という全体像を学びましたが、今回はさらに一歩踏み込んで、堆肥を形作る「原料」と、その中で活動する「微生物」の働きを深掘りしました。
堆肥づくりは、目に見えない生きものたちの「壮大なリレー」のようでした。
その舞台裏を少し覗いてみましょう。
1. 堆肥の原料構成:個性を活かした「バランス」の妙
堆肥の材料と聞いて、何を思い浮かべますか?
牛糞や鶏糞といった家畜のフン、あるいは落ち葉や米ぬかなど、身近な有機物がたくさんあります。
実は、これらの材料にはそれぞれ「得意分野」があります。
- 米ぬか(C/N比 22):窒素とリンを多く含み、微生物が好みやすい「ご馳走」のような存在。堆肥やぼかしの材料として非常に優秀です。
- もみがら(C/N比 80):栄養は少ないですが、硬くて形が崩れにくいため、堆肥の中に空気の通り道(棲家)を作ってくれる「名脇役」です。
- 家畜糞:牛糞(15)は肥料成分のバランスが良く、鶏糞(8〜10)は分解が早く肥料効果が高いなど、動物によって性質が異なります。
講義で特に重要だったのが、「C/N比(炭素と窒素のバランス)」という考え方。
人間もおかずだけ、ご飯だけでは健康を損ねてしまうように、堆肥も「窒素(おかず)」と「炭素(ごはん)」のバランスが大切です。
仕込み時の目標C/N比を「25」程度に整えることで、微生物たちは元気に、かつ効率よく活動できるようになります。
2. 微生物のリレー:熱いバトンがつなぐ「分解」のプロセス
山積みにされた堆肥の材料の中で、微生物たちはどんな仕事をしているのでしょうか?
面白いことに、彼らは一斉に働くのではなく、温度の変化に合わせて「リレー」のように主役を交代していきます。
- 第一走者:タンパク質・糖分解期(糸状菌など) まずは糖分やタンパク質が大好きなカビの仲間が、分解をスタートさせます。増殖は速いですが、高温には少し弱いのが特徴です。
- 第二走者:繊維質分解期(バチルス菌・放線菌) 分解が進んで温度が上がってくると、熱に強い彼らの出番です。この時期、堆肥の温度は60℃以上に達し、病原菌や雑草の種が死滅する「最も熱い」期間を迎えます。放線菌は病原菌を抑える力も持っています。
- アンカー:リグニン分解期(キノコ菌など) 温度が落ち着いてくると、最後にじっくり時間をかけて、木の成分のような硬い繊維(リグニン)を分解していきます。
この「微生物のリレー」がうまく繋がることで、未熟な有機物が、植物にとって優しく、土を豊かにする「完熟堆肥」へと生まれ変わるのです。
私たちの足元で繰り広げられる、小さな生きものたちのドラマ。
「何を混ぜるか」という選択の一つひとつが、微生物たちの働きやすさを決め、巡り巡って野菜の味や土の健康につながっているのですね。
次回は、さらに具体的な「堆肥の使い分け」についてご紹介します。
どうぞお楽しみに!
▼ポイント
・堆肥の理想的なC/N比は仕込み時「25」程度。炭素(ごはん)と窒素(おかず)のバランスをC/N比25前後に整えると、微生物が元気に、かつ効率よく活動できる。
・米ぬかともみがらは役割が違う。米ぬか(C/N比22)は窒素とリンが豊富で微生物の「ご馳走」となり分解を促し、もみがら(C/N比80)は硬く崩れにくく堆肥内に空気の通り道をつくる「骨格・名脇役」。
・堆肥が60℃以上になるのは繊維質分解期。熱に強いバチルス菌や放線菌が活発に働くためで、この高温期に病原菌や雑草の種が死滅し、放線菌が病原菌を抑える働きもする。
・堆肥の発酵は主役の交代で分解を進める仕組み。タンパク質・糖分解期(糸状菌)→繊維質分解期(バチルス菌・放線菌)→リグニン分解期(キノコ菌)と進み、未熟な有機物が完熟堆肥へと生まれ変わる。
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