堆肥と「ぼかし」は何が違う?CN比と発酵温度で使い分ける育土の基礎知識──『つちの学校』に通い始めました(第6回)
2025-12-04
▼こんなお悩みを持つ方におすすめ
✓ 「堆肥」と「ぼかし」の違いが分からず、どちらを使えばいいか迷っている
✓ 元肥・追肥に何を選べばいいか、資材選びの基準を知りたい
✓ 堆肥を入れても効果を感じず、施用量に不安がある
✓ 「発酵」と「呼吸」の違いなど、堆肥の仕組みを根本から理解したい
こんにちは、坂ノ途中の研究室の小西です。
第6回は主に堆肥づくりについてさらに深めていく会でした。
そもそも堆肥とは何ぞや?
堆肥とは「主に有機物を微生物によって高温で、発酵、分解、熟成させた肥料」です。
そして堆肥には色んな効果があります。
物理性・生物性・化学性の改善、総称して「育土効果」があります。
その結果、収量が増えたり、品質が上がったり、安定した生産が期待できるようになります。
では入れたら、入れただけ良いのかといわれるとそうでもなさそうです。
有機物は1年で全て分解されるわけではなく、翌年も残り続けます。
完全になくなるまで数年かかります。
つまり毎年同量を入れ続けると、栄養分が過多になっていきます。
また「堆肥」に似たもので「ぼかし」があります。
堆肥が土壌改良目的で使用されることが多いのに対し、ぼかしは肥料とくに追肥目的で使用されることが多いです。
主な両者の違いは「原料構成」と「発酵温度」です。
堆肥の場合は炭素(C)が豊富な原料を使い、ぼかしの場合は窒素(N)が豊富な資材を使います。
CN比で表現すると堆肥が15~25程度、ぼかしは7~12程度になります。
またぼかしも同じように発酵させますが、堆肥が60~80度近くまで上がるのに対し、ぼかしは50度以下で管理されます。
これはぼかしに窒素(N)を残しておくため、窒素の揮散や分解を抑え、栄養素を残すためです。
ぼかしとの違いを見ると、堆肥というものが土壌改良目的、つまり育土効果を狙ったものであることが際立ちますね!
堆肥に欠かせない発酵とはなんぞや?
今まで当たり前のように「発酵」という言葉を使ってきましたが、発酵とは何なのでしょうか。
有機物を微生物などが分解して、そこからエネルギーを得る仕組みのことをいいます。
デジタル大辞泉で調べてみると、「微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象。
狭義には無酸素状態で糖質が分解されること。
」と定義されていました。
ここで「無酸素状態」とあることから、発酵は嫌気状態で有機物を分解しエネルギーを得ることを意味しています。
つまり酸素がある状態(つまり好気状態)における一連の動きは、発酵とは言わないみたいです。
では好気状態で有機物を分解してエネルギーを得ることを何というのか。
我々も植物も行っている「呼吸」と呼びます。
光合成で生み出した糖を、呼吸によって得た酸素を使ってエネルギーに変えたりする流れです。
堆肥化に目を向けると、空気を使った分解も、空気を使わない分解もどちらも行われています。
それを「発酵」という言葉にまとめていますが、本来的には好気性発酵という言葉は科学的には正しくないようです。
ですが、この言葉のおかげで、直感的に理解しやすいという大きな利便性を享受しています。
今回の学び
ぼかしと堆肥の違い、そしてそもそも両者に共通する「発酵」とは何かを深く理解することができた会でした。
▼ポイント
・堆肥とぼかしの違いは「原料」と「発酵温度」。堆肥は炭素が豊富(CN比15~25・60~80度)で土壌改良向き、ぼかしは窒素が豊富(CN比7~12・50度以下)で追肥向き。
・ぼかしの温度が低いのは窒素を残すため。50度以下に抑えることで窒素の揮散・分解を防ぎ、肥料としての効き目を残す。
・堆肥は入れすぎ注意。有機物は数年かけて分解されるため、毎年同量を入れ続けると栄養過多になる。
・「発酵」は嫌気、「呼吸」は好気での有機物分解。堆肥化では両方が起きているが、まとめて「発酵」と呼ばれている。
ご質問やご相談は、LINEよりお問い合わせください!