猛暑日の現地実習 ──『つちの学校』に通い始めました(第5回)
2025-11-20
坂ノ途中の研究室 | 接点を持ったメーカー・生産者200社以上
小西 到也
5月の訪問以来、約2か月ぶりに岐阜県白川町を訪れました。
前回は過ごしやすい気候でしたが、この日は気温35度を記録する猛暑日。
現場作業は体力的にも非常に厳しく、まさに真夏の農作業を体感することになりました。
2日間で「実習」と「座学」の2本立てで取り組みました。
実習編~人力の過酷さと農機のありがたさ~
畝たての効率と落とし穴
初日は施肥からの畝たてと追肥作業を行いました。
前回の実習も含めて、施肥から畝たて、播種・定植、追肥と一連の作業を経験させていただきました。
特に印象に残ったのは畝たて作業です。トラクターに「マルチャー」と呼ばれる機械を取り付けると、高さや幅が揃った畝が数分で完成します。人力作業と比べると圧倒的に効率的で、省力化の力強さを肌で感じました。
もう1つ反省と共に学んだのが、均等な畝間の大事さです。畝を立てる位置を私が指示したのですが、畝間を誤って広く取りすぎてしまいました。結果、その後の畝間が次第に狭くなるという事態に…畝間が狭いと雑草管理や収穫の作業効率が落ちてしまいます。たかが畝間、されど畝間。ちょっとした判断が現場全体の効率性に直結することを痛感しました。
(ご迷惑をおかけした高谷さん、本当に申し訳ありません…!)
2日目は土ぼかし堆肥の原料混ぜ合わせ、水分調整、切り返しを学びました。
使用したのは、もみ殻・米ぬか・鶏糞・落ち葉・壁土。合計1,440Lもの資材を混ぜ合わせ、水分調整しながら切り返します。
壁土が強敵で、ただでさえ重い壁土が水が加わるとさらに重くなります。スコップでの切り返しは想像以上の重労働でした。
しんどい作業も、ローダーを使うことで一瞬で終わります。自分でやって負担を知ったことで、機械のありがたみや効率性が一層感じられました。
最初から機械を導入するのも1つの戦略ですが、一度自分でやってみてどれだけの負担が軽減されるのか、その影響はどういう効果をもたらすのかを考えてみるのも大事だなと思いました。
ちなみにこの土ぼかし堆肥はとても面白い堆肥です。原料としては炭素<窒素の構成でCN比は低い原料構成になっています。そのため発酵過程で窒素分はどんどんアンモニウムに分解されていきます。通常アンモニウムは空気中に放出されますが、CEC(陽イオン交換容量)が高い壁土がその放出を阻止し、吸着して保持してくれます。原料構成と分解のメカニズムを理解することで、効率の良い堆肥を作ることができるようになります。
座学編~窒素の循環~
座学では「窒素の循環」について学びました。
有機栽培では有機物を土に投入し、それを微生物が分解することで窒素を供給します。
その過程で、植物が吸いやすい硝酸態窒素が生成されます。
窒素分を含む有機物(例えば油かす)を投入した例を考えてみましょう。
- 油かすは微生物の働きによってアンモニウムに分解されます。
- アンモニウムは硝化菌の働きで硝酸態窒素に分解されます。
- 植物が硝酸態窒素を吸収します。
ただ、そこで止まればいいのですが、そうはいかない事態が存在します。
例えば油かすをあげすぎた場合、それを分解する微生物が過剰に増え、増えた微生物が土中の酸素を使いつくしてしまいます。
そうするといわゆる嫌気性の土になり、そういった環境を好む脱窒菌が現れます。
この脱窒菌が、硝酸体窒素を還元していき、途中で亜酸化窒素(N₂O)といった気体に変えて大気中に放出します。
この亜酸化窒素が温暖化効果のとても高いガスとして大気に放出されます。
有機肥料も与えすぎれば、環境負荷につながる可能性があるということ。
使い方次第で影響が大きく変わる点は肝に銘じる必要があると感じました。
今回の学び
今回の現地実習で、畝間ひとつ、堆肥の切り返しひとつにしても、現場の知恵や効率化の工夫が込められていることを実感しました。家庭菜園では気づけない、プロとしてやるからこその効率化方法などが現場には詰まっているなと感じました。
また座学では、有機だから環境負荷が低いとは一概に言えない、持続可能性を考えるうえで、肥料の施用量や環境への影響を常に意識する必要があるのだと改めて理解しました。
あまりの暑さに意識が飛びそうになりながらも、今回も非常に学びの多い訪問となりました。
ご質問やご相談は、LINEよりお問い合わせください!