資材の活用術 夏の追肥で失敗しない!高温期に窒素をやりすぎてはいけない理由
▼こんなお悩みを持つ方におすすめ
✓ 葉ばかり茂って、実つきや品質がいまひとつ…と感じている方
✓ 夏になると決まって病気や虫が出やすい、という方
✓ 追肥の量やタイミングを「なんとなく」で決めてしまっている方
夏本番、作物の勢いを見て「もうひと伸びさせたい」とつい肥料を足したくなる季節ですね。
今回は、高温期に窒素をやりすぎてはいけない理由と、緩効性有機肥料に切り替えるメリットを特集します!
夏本番、作物の勢いを見て「もうひと伸びさせたい」とつい肥料を足したくなる季節ですね。
ですが、高温期の追肥は「足せば足すほど良い」というものではありません。
むしろ窒素をやりすぎると、軟弱に茂って病気を招いたり、果実の品質を落としたりと、逆効果になることがあります。
今回は、なぜ高温期の窒素過多が失敗につながるのかを公的な一次情報をもとに整理し、緩効性の有機肥料に切り替えるメリットと施肥量の考え方をご紹介します。
作物や土の状態で最適解は変わり、万能の正解はありませんが、勘どころを本記事で押さえていただければと思います。
なぜ高温期の「窒素やりすぎ」は失敗するのか
窒素は生育の要となる成分ですが、多ければ多いほど良いわけではありません。
過剰になると、大きく分けて三つの症状が起きやすくなります。
【ポイント1】軟弱に茂り、病気を招きやすくなる
窒素をやりすぎると、株は徒長ぎみに茂ります。
群馬県農政部技術支援課の資料でも、果樹について「過剰な窒素施用は徒長的な生育となり、果樹の胴枯病・腐乱病などの主幹病害や、耐寒性の低下から凍害の発生を助長」すると整理されています。
軟弱徒長を引き起こすだけでなく、病害の出やすい体質をつくってしまうわけです。
水稲でも同じ傾向が知られています。
農研機構は窒素の追肥時期といもち病の関係を解析し、「葉いもち発生を最も助長する追肥時期は、葉いもち全般発生開始期に集中した」と報告しています。
タイミングを外した窒素追肥が、病気を後押ししてしまうのです。
【ポイント2】果実の品質(着色・糖度)が落ちやすくなる
窒素過多は、収穫物の見た目や味にも響きます。
先ほどの群馬県の資料では、リンゴで「窒素過剰が花芽の着生不良、果実の着色不良、果実の貯蔵性低下をきたし」、ブドウで「窒素の多施用は枝の徒長・ねむり症・花ぶるいを起こしやすく、着色不良・糖度不足などの品質低下」を招くとされています。
色がのらない、甘くならない、日持ちしない——夏の追肥のやりすぎは、こうした形で表れます。
【ポイント3】野菜では硝酸イオンがたまり、食味にも影響
葉物などの野菜では、余った窒素が硝酸イオンとして体内にたまりやすくなります。
農研機構(野菜茶業研究所)の「野菜の硝酸イオン低減化マニュアル」は、「硝酸イオンの野菜への蓄積は、窒素肥料の過剰施肥が大きな要因と考えられています」と述べています。
さらに同マニュアルは、ホウレンソウを例に「ホウレンソウでは硝酸含有率と糖含有率(グルコース・フルクトース・スクロース含有率の合計)の間に負の相関関係が認められました。つまり、硝酸を低減化することによって糖含有率に対しても良い影響を与えることができます」としています。
窒素を締めることが、そのまま食味の向上につながりうるということですね。
適切な施肥量の考え方
大切なのは「作物が今どれだけ必要としているか」に合わせることです。
濃い緑・茂りすぎのサインが出ているなら、それは窒素の施肥を抑える合図。
地力(土がもともと持っている窒素)も勘定に入れ、控えめから始めるのが失敗しないコツです。
緩効性肥料を土台に据えておけば、追肥に頼りすぎず、なだらかな肥効で夏を乗り切りやすくなります。
注目商品「ボカシ大王エコ(Sタイプ)」
① ボカシ大王エコ(Sタイプ)
坂ノ途中でも扱っている天然の緩効性有機肥料です。
商品ページでは「天然の緩効性肥料」と紹介されており、土壌の微生物の良質なエサとなって土を育てる、粒状(約3〜5mm)タイプです。
窒素・りん酸・加里をバランスよく含み、各種ミネラルも含むため、作物の栄養源として優れた肥効が得られます。
速効性の窒素をドカッと効かせるのではなく、微生物の力を借りてゆっくり効かせるのが持ち味です。
有機JASにも適合しており、資材証明書の発行が可能です。
有機認定圃場でのご使用は、念のためご契約の登録認証機関にご確認ください。
施用量の目安は10aあたり、茶・果樹・一般作物で150〜300kg(10〜20袋)とされています。
高温期の「やりすぎ失敗」を避けたい方の、土台づくりに向いた一品です。
まとめ
高温期の追肥は「足す」よりも「効かせ方を整える」ことが失敗回避の近道です。
窒素をやりすぎると、軟弱徒長や病害、果実の着色・糖度低下、野菜の硝酸蓄積といった形で跳ね返ってきます。
速効性で一気に効かせる発想から、緩効性の有機肥料でゆっくり効かせる設計へ。
今年の夏は、量とタイミングを少し控えめに見直してみませんか。
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よくある質問
Q1. 夏でも追肥はまったくしない方がいいのですか?
いいえ、必要な追肥まで止める必要はありません。
問題は「やりすぎ」です。
生育量に見合った量を、できれば緩効性でゆっくり効かせましょう。
濃い緑・茂りすぎのサインが出ていたら、足す前に一度立ち止まってみてください。
Q2. どうして高温期はとくに注意が必要なのですか?
夏は生育が速く、肥料の効き方も変わりやすい時期だからです。
速効性の窒素を多く入れると、軟弱な茂りや病害を招きやすくなります。
窒素過剰が徒長や病害の助長につながることは、公的資料でも整理されています。
Q3. 緩効性肥料にすると、本当に量を減らせますか?
農林水産省サイトに掲載の施肥基準資料では、被覆肥料の全層施用で総施肥量を20%以上軽減できるとされています。
利用効率が良く無駄になりにくいのが利点です。
ただし作物や土で適量は変わるため、少なめから調整してください。
Q4. 有機JAS圃場でも使えますか?
「ボカシ大王エコ(Sタイプ)」は有機JAS適合で、資材証明書の発行が可能です。
ただし認定圃場での使用可否は、最終的にご契約の登録認証機関へご確認いただくのが確実です。
参考・引用元
・群馬県農政部技術支援課「作物の栄養生理と養分吸収(果樹)」(ぐんまアグリネット)
https://aic.pref.gunma.jp/agriculturals/management_support/soil01/作物の栄養生理と養分吸収(果樹)
・農研機構「葉いもち多発生を招く窒素施肥時期」
https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/narc/1995/narc95-2-232.html
・農研機構(野菜茶業研究所)「野菜の硝酸イオン低減化マニュアル」(平成18年3月)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/shousanmanual.pdf
・農林水産省サイト掲載「緩効性肥料の利用技術(肥効調節型肥料)」(都道府県施肥基準等)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ntuti30.pdf
・坂ノ途中 資材ショップ「ボカシ大王エコ(Sタイプ)」商品ページ
https://saka-shizai.i17.bcart.jp/product.php?id=48