かに殻・EM菌・バチルス菌、どう使い分ける?有機農業の病害対策の資材ガイド
▼こんなお悩みを持つ方におすすめ
✓ 連作障害や土壌病害に毎作悩まされている方
✓ 有機資材を病気の対策に使えることを知らなかった方
✓ 農薬に頼らない予防的な土壌管理に関心のある方
連作障害や土壌病害は、有機栽培に取り組むほど向き合うことの多いテーマです。
今回は、土壌病害の予防に実際に使われている有機資材3つを、使い分けの視点から整理します。
土壌病害の対策に、有機資材という選択肢
私がレンコン栽培に有機肥料を取り入れたきっかけのひとつは、圃場に広がった腐敗病でした。
原因は化学肥料の成分が効きすぎたことで、土壌のバランスが乱れていたことにあります。
病害虫を機に有機資材へ目を向けた生産者は、決して少なくありません。
今回は、土壌病害の対策として実際に活用されている有機資材を3つご紹介します。
かに殻|病原菌密度を下げる予防的資材
かに殻に含まれるキチン質は、土壌中でキチン質を分解する菌のはたらきを高め、結果として病原菌(フザリウムなど)の密度を抑えることが期待されると考えられています。
化学合成農薬の使用が原則として制限される有機栽培において、予防的な土壌管理の選択肢のひとつとして活用されています。
「上手な生産者は予防的に土壌を調整している」というのは、経験者の間でよく語られる言葉です。
問題が起きてから対処するのではなく、想定されるリスクを事前に洗い出し、土壌環境を先に整えておく考え方が重要です。
① カニガラ(ペレット)
カニ殻を原料にした、扱いやすいペレット状の有機質肥料です。
土壌中の小動物・微生物の活性を促し、団粒化を進める土づくり資材として使えるとされています。
EM菌|湛水状態の圃場で硫化水素を除去
レンコンの圃場のように、水田で湛水状態が続く環境では、硫化水素が発生して根を傷める原因になります。
EM菌に含まれる光合成細菌には、この硫化水素などの有害物質を分解・低減するはたらきが報告されており、嫌気性土壌の環境改善に役立つと考えられています。
水稲栽培への有機資材導入に関心のある方にとっても、EM菌は比較的取り組みやすいとされ、選択肢のひとつとして知っておいて損のない資材です。
バチルス菌|残渣分解と次作の圃場回復
バチルス菌は作物残渣の分解を促進し、次の作付けに向けた土壌回復を助けます。
有機物が多く投入された圃場ほど、効果が出やすい傾向があります。
② HBL(ハイパーバチルスリキッド)
芽胞(休眠状態)で安定して働くバチルス菌の、液体タイプの資材です。
タンパク質やセルロースなどの分解能力が高いとされ、葉面散布や堆肥づくりにも使えます。
有機JASにも適合しています。
③ チャコプロ 粗粒
炭化したヤシ殻に、バチルス菌などの有用微生物を組み合わせた土壌改良材です。
バチルス菌がセルロースを分解して残渣分解に働き、根圏の悪玉菌の抑制にもつながります。
3つの資材に共通する使い方|A品率を高める補完的な活用
これら3つの資材に共通しているのは、「収量を直接上げる」というよりも、病気を予防し、土壌環境を整えることでA品率を高めるという使い方をする点です。
化成肥料との組み合わせを含め、補完的に活用することで、安定した栽培につながります。
まずは自分の圃場で起きやすいリスクを見極め、予防のための一手として取り入れてみてください。
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よくある質問
Q1. かに殻はどんな病気の対策に使えますか?
キチン質を分解する菌を増やすことで、フザリウムなどによる土壌病害の密度を抑える予防的な効果が期待できます。
農研機構でもフザリウム由来の土壌病害(キャベツ萎黄病)に対しカニ殻粉末を用いた研究が行われています。
ただし「必ず治る」という薬剤ではないため、発病後の治療ではなく予防的な土づくりとして活用するのが基本です。
Q2. EM菌(光合成細菌)はどんな圃場で役立ちますか?
レンコン田や水田のように湛水状態が続き、硫化水素などの有害物質が発生しやすい嫌気性の環境で役立ちます。
光合成細菌にはこうした有害物質を分解・低減する働きがあり、培養の難易度も比較的低いのが特徴です。
Q3. かに殻・EM菌・バチルス菌は併用できますか?
それぞれ目的が異なるため、補完的に併用できます。
収量を直接上げるというより、病気を予防し土壌環境を整えることでA品率を高める使い方が中心です。
化成肥料との組み合わせも可能で、圃場の状態に合わせて選ぶとよいでしょう。