肥料成分の世界──『つちの学校』に通い始めました(第4回)
2025-09-23
坂ノ途中の研究室 | 接点を持ったメーカー・生産者200社以上
小西 到也
土の学校・第4回のテーマは「肥料成分」でした。
前回は「窒素・リン・カリ」の3要素の必要性を学びましたが、今回はさらに広く、植物を支える栄養素について理解を深める内容でした。
農業資材を販売する立場としても、現場ですぐに役立つ知識が多く、大変勉強になりました。
特に印象に残ったのは、次の2点です。
① 植物の成長に欠かせない「必須要素」と「微量要素」
植物に必要な栄養素は、大きく「必須要素」と「微量要素」に分けられます。
名前の通り、必要とされる量が大きく違い、微量要素が反あたり数グラム程度で済むのに対し、必須要素は数キログラム単位。実に1000倍ほどの差があります。
必須要素は次の9つ:
- H(水素)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、P(リン)、K(カリ)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、S(硫黄)
微量要素は次の9つ:
- Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、B(ホウ素)、Mo(モリブデン)、Cl(塩素)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)
植物はこれら18の要素を組み合わせて生長します。どれかが不足すると欠乏症につながります。
その中で特に気になったのが「S(硫黄)」です。
「硫黄が足りない」という声は今まであまり聞いたことがなかったこともあり引っかかりました。
調べてみると硫黄はアミノ酸(タンパク質のもと)の構成元素であり、細胞を作るために欠かせない要素です。また、葉緑素の合成にも関わっていて、不足すると光合成量が低下してしまいます。最近は大気汚染防止の規制によって工場からの硫黄の排出が減り、その影響も硫黄欠乏が出やすくなっている要因と一般的には言われています。
② pHと塩基飽和度の関係
生産者さんから「土のpHが高くて困る」という声をよく聞くのですが、今回、その仕組みを理解できました。
そもそもなぜphが高いと困るのでしょうか?
植物は浸透圧を利用して、水分や養分を吸収します。
pHの高いアルカリ土壌だと、根に比べ土のほうが濃い状態になり、吸収がうまくいかなくなります。
結果的に必須要素や微量要素などの吸収が滞り生育に良くない影響が出てしまいます。
次に、なぜpHは上がってしまうのでしょうか?
土には「CEC(陽イオン交換容量)」という性質があり、これは土がプラスの電荷を持つ栄養素(陽イオン)をどれだけ保持できるかを示すものです。したがって、CECが高い=保肥力が高い、ということになります。
さらに「塩基飽和度」という指標もあります。これは、土が持つ座席(=CEC)に対して、栄養素というお客様がどれだけ座っているかを表すイメージです。
- 塩基飽和度70〜80%:こみすぎてもない、ちょうどよい状態
- 120%:席に座りきれず、待っているお客様(栄養素)があふれる状態
塩基飽和度が120%のように飽和を超えると、土の中がプラスに偏ります。特にCa²⁺などアルカリ性のイオンが多いと、土壌は一層プラスに偏ります。
つまり、アルカリ性の陽イオンが土を埋め尽くすことで、土壌全体がアルカリ性に傾き、結果として pH が上昇してしまいます。
学びを通じて
今回の授業では、植物の生育に必要な要素が「どんな種類なのか」だけでなく、「土の中でどんな仕組みで吸収されているのか」まで学ぶことができました。知れば知るほど、自然の精妙な仕組みに驚かされます。
次回は再び現地での実習です。五感を使っての学びを、またレポートできればと思いますので、どうぞご期待ください!
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