資材の活用術 【高温期の出荷で失敗しない】農産物の梱包・出荷トラブルQ&A

2026-08-05
【高温期の出荷で失敗しない】農産物の梱包・出荷トラブルQ&A

▼こんなお悩みを持つ方におすすめ

✓ 出荷した袋の中が結露して、着いた頃には野菜が濡れている…という方

葉物がすぐ萎れてしまい、夏場のクレームが増えて困っている方

✓ 果菜の色が変わってしまい、せっかくの品質が届け先で評価されない方

小西到也

坂ノ途中の研究室 | 資材販売事業リーダー

小西 到也

≫執筆者プロフィール

夏の出荷は、朝どりで丁寧に収穫したはずなのに「届く頃には別物になっていた」というトラブルが本当に増える季節です。朝どりのレタスがしんなり、きれいに詰めたトマトが届く頃には真っ赤に熟れすぎ…そんな声が毎年のように届きます。

今回は、高温期に起こりがちな「結露」「葉物の萎れ」「果菜の色変わり」という3つの出荷トラブルを、Q&A形式で原因と対策に分けて整理します。あわせて、対策として使える資材もご紹介します。

Q1. 袋の中が結露して、野菜がびしょ濡れになります

【原因】フィルムの中で水分が逃げ場を失っている

まず知っておきたいのが、野菜は収穫後も呼吸をしていて、水分を出し続けているということです。そこに夏場の温度差が加わると、袋の内側で水滴になります。

農研機構の資料でも、青果物の包装に多いポリプロピレンのフィルムは「水蒸気透過性は比較的悪く蒸れやすいため、結露が発生しやすい」と指摘されています。対策としては、水蒸気透過性の高い包材を使う、孔を開ける、機能性段ボールを使うといった方法で水分を調節できるとされています。つまり、一般的なフィルム袋にそのまま入れて密封すると、中の湿気が抜けきらず結露しやすいということです。

【対策】水分が調節できる包材を選び、まず品温を下げる

対策の方向は2つです。

1つは、水蒸気を通しやすいフィルムや孔あきの袋、機能性段ボールなど、水分を調節できる包材に切り替えること

もう1つは、そもそも野菜の温度(品温)を下げてから包むことです。農研機構も「青果物の品質保持に最も効果があるのは、青果物を低温に保ち呼吸速度を下げること」としています。温かいまま袋に入れると、その熱と水分がそのまま袋の中にこもります。収穫後にできるだけ早く冷やす「予冷」をしてから包むだけでも、結露はかなり抑えられます

Q2. 葉物がすぐに萎れてしまいます

【原因】水分の蒸散に、吸水が追いつかない

葉物が萎れるのは、葉の表面から水分が抜けていく「蒸散」に対して、収穫後は根からの吸水がないため、どんどん水分が失われていくからです。気温が高いほど蒸散は進むので、夏場は特に萎れやすくなります。

葉物を新鮮に保つカギは、温度と湿度の両方です。農研機構も「野菜を新鮮に保つためには、温度と湿度が重要です」としています。実際、レタスは0℃・湿度98〜100%、ホウレンソウは0℃・湿度95〜100%と、低温かつ高湿度が目安とされています。

【対策】予冷+高湿度をキープする包装で「乾かさない」

葉物は、低温で呼吸を落ち着かせつつ、袋の中の湿度を保って乾燥を防ぐのが基本です。ここで大事なのは、包装と低温は必ずセットにすること。農研機構も「フィルム包装は、必ず貯蔵最適温度付近の低温と組み合わせてください」と明記しています。冷やさずに密封だけしても、Q1の結露や蒸れを招くだけなので注意してください。

予冷して低温を保ち、乾燥を防ぐ袋で包む——この組み合わせが萎れ対策の軸になります。

Q3. 果菜の色が変わってしまいます

【原因】高温で呼吸・熟成が進み、エチレンも働く

トマトが届く頃に赤くなりすぎていたり、緑の野菜が黄ばんできたり。これは、収穫後も続く呼吸や熟成が、高温で加速するために起こります。ここに関わるのが植物ホルモンの「エチレン」です。農研機構は、エチレンについて「呼吸や二次代謝、エチレン生成を促進して青果物の品質変化(熟成、劣化)を促進する作用がある」と説明しています。夏場は温度が高いぶん、この熟成・劣化のスピードが上がってしまうわけです。

【対策】呼吸を抑える。低温+ガス環境の調整

色変わり対策も、やはり基本は予冷と低温流通で呼吸を抑えることです。そのうえで、より積極的に呼吸を抑える方法として「MA包装」という技術があります。野菜や果物は収穫後も呼吸を続けて成熟・老化していくため、農研機構によると、フィルム表面に微細孔を開けるなどしてガス透過性を調節し、袋内を「低酸素・高二酸化炭素」状態にすることで呼吸を抑え、品質保持期間を延ばせるとされています。

袋の中の空気の状態をコントロールして、野菜の呼吸をあえてゆっくりにさせる、という考え方です。次にご紹介する資材が、まさにこの仕組みを使ったものです。

注目商品:オーラパック|青果物の「鮮度キープ」「見栄え向上」を両立させる高鮮度保持フィルム

製造元は株式会社ベルグリーンワイズです。
水分分子を活性化させることで水分・栄養素の循環を促し、青果物内部の水分蒸散を抑えるとともに、高い防曇機能で袋内の蒸れ・水滴の付着を軽減します。

「乾燥しすぎず、蒸れすぎない」通気性と透湿性のバランスを取った設計が特徴です。
とうもろこしや枝豆をはじめ、ブロッコリー・新じゃが・柿・セロリなど品目ごとの専用グレードが用意されているため、幅広い青果物で汎用的に使えます。

一例として、メーカーが公開しているとうもろこし用グレードの比較データでは、25℃・湿度60%RHの環境で2日経過させた場合、一般包装は実にくぼみが見られたのに対し、オーラパックは実のハリが保たれ、Brix糖度の減少も一般包装より緩やかでした。枝豆用グレードでも、独自加工により変色や水滴の付着を抑える効果が確認されています。
あくまでメーカー資料上のテスト結果であり、品種や保管環境によって結果は変わり得る点はご留意ください。

使い方の目安

基本的には密封包装の方が鮮度保持効果が高まるため、バックシーラーやヒートシーラーでの包装がおすすめです。
密封しない場合は、青果物の身丈よりも大きい袋のサイズを選んでください。

直射日光・高温多湿の場所での保管はフィルム劣化(白化)を早めるため避け、フィルム自体は半年を目処に使い切るのが良いとされています。

また同様の機能を持った競合商品に比べて比較的安価な価格となりますので、上記のようなお悩みをお持ちの方はぜひご検討ください。

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よくある質問

Q. 予冷の設備がありません。まず何から始めればいいですか?

大がかりな設備がなくても、収穫時間を涼しい早朝に寄せる、収穫後すぐ直射日光を避けて日陰・風通しのよい場所に移す、といった「品温を上げない工夫」から始められます。農研機構も、品質保持に最も効果があるのは低温に保って呼吸速度を下げることだとしています。できる範囲で野菜の温度を上げないことが第一歩です。

Q. 結露が心配なら、袋に入れずに出荷したほうがいいですか?

一概にそうとは言えません。袋には乾燥(萎れ)を防ぐ役割もあるため、包まないと今度は水分が抜けて萎れやすくなります。ポイントは「密封+常温」を避け、水分を調節できる包材を使うことと、低温と組み合わせることです。

Q. どんな野菜でもMA包装フィルムは効果がありますか?

いいえ。玉ねぎ・大根・れんこんなどの根菜は元々の呼吸量が小さく、目立った効果は期待しにくいとされています。米や漬物のように呼吸をしていないものにも効果はありません。呼吸量の多い葉物や果菜で効果を発揮しやすい資材です。

Q. 袋の種類を変えれば予冷はしなくても大丈夫ですか?

残念ながら、そうはいきません。フィルムはあくまで「冷やした状態を保ち、水分やガスを調節する」ための道具で、温度管理の代わりにはなりません。袋を変えるだけでなく、予冷・低温での使用を前提としてお使いください。

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