資材の活用術 農業用白酢とは?有機JAS対応・病害予防への使い方と効果

2026-07-22
農業用白酢とは?有機JAS対応・病害予防への使い方と効果
農業用白酢とは?有機JAS対応・病害予防への使い方と効果

▼こんなお悩みを持つ方におすすめ

化学農薬をできるだけ減らしたいけれど、病気の蔓延が気になる方

有機栽培でも使える、自然素材で手頃な資材を探している方

✓ 「白酢」という名前は聞くけれど、何にどう使えるのかがよく分からない方

田島寛也

坂ノ途中の研究室 | 元レンコン農家・税理士法人勤務

田島 寛也

≫執筆者プロフィール

農薬散布の手間やコスト、そして環境への配慮——「農薬をできるだけ減らしたい」というのは、有機や減農薬に取り組む農家さんにとって、常に頭の片隅にあるテーマではないでしょうか。
私も現役でレンコンを育てていた頃、同じことをよく考えていました。

そんな中で、昔から使われてきて、いま改めて見直されているのが、身近な「お酢」を農業に使うという方法です。

今回は、農業用として流通している「白酢」とは何か、その成分や国の制度上の位置づけ、そして期待できること・言い切れないことを、農林水産省の公的な情報にもとづいて、できるだけ正直に整理してみます。

「なんとなく体に良さそう」というイメージだけで使うと、思わぬ空振りや誤解につながることもあります。
圃場で判断するときの材料として、お役に立てば嬉しいです。

そもそも農業用白酢とは?

白酢とは、穀物や果汁などを発酵させて作られる醸造酢の一種です。
「食用のお酢と何が違うの?」と思われるかもしれませんが、大きな違いは酢酸(酸度)の濃さにあります。

農業用白酢と一般的な食酢の違い

一般的な食酢の酸度は4〜5%程度ですが、坂ノ途中でお取り扱いしている白酢は酢酸10%
およそ2倍の濃さです。
高濃度なので、実際に使うときは水で薄めて(希釈して)使います。

「ただのお酢でしょう?」と思われるかもしれませんが、実は農業の世界で白酢が注目されるのには、きちんとした理由があります。
それが、「食酢」が国の制度で『特定防除資材(特定農薬)』として位置づけられている、という点です。

【ポイント】特定防除資材(特定農薬)ってなに?

少しだけ制度の話にお付き合いください。

特定農薬とは、改正農薬取締法第2条第1項に定められた、「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないこと」として、農林水産大臣と環境大臣が指定する農薬のことです。
分かりやすく「特定防除資材」と呼ばれることもあります。

農林水産省によると、指定を検討した結果、その時点で殺菌効果を持つことが明らかだった重曹と食酢、それに地場で生息する天敵を指定するのが適当、との結論が出されたとのこと。
現在は「エチレン」「電解次亜塩素酸水(規定のもの)」「重曹」「食酢」「天敵」が指定されています。

ここが大事なポイントなのですが、指定された特定農薬は、農薬登録をしなくても製造・販売・使用ができます。
つまり食酢(白酢を含む醸造酢)は、「登録農薬ではないけれど、防除に使うことが国に認められている」という、ちょっと特別な立ち位置の資材なんですね。

白酢の成分・特徴|ここが便利

坂ノ途中でお取り扱いしている白酢の基本情報は、以下のとおりです(商品ページ記載)。

製造元イノチオプラントケア株式会社
原材料穀物・果汁など
形状液状
酢酸濃度(酸度)10%
pH2.1(強酸性)
肥料成分(N・P・K)成分としての表示はありません(肥料ではありません)
有機JAS適合資材証明書の発行が可能

白酢の働きとして、商品ページでは次の2つが挙げられています。
どちらもメーカー・販売元の説明にもとづく内容です。

① リン酸を効きやすくする(リン酸遊離効果)

白酢に含まれる酢酸によって、土の中で固定されて効きづらくなりがちなく溶性リン酸が可溶化し、植物に吸われやすい状態になる、とされています。
「リン酸を入れているのに、いまいち効いている感じがしない」という圃場では、気になる働きかもしれません。

② 土壌pHを一時的に下げる

pH2.1という強酸性のため、灌注すると土壌pHを下げる効果があるとされています。
ただし有機酸なので、メーカーの説明によると、pHが下がるのは2日ほどで、その後は微生物に分解されて土壌には残らず、pHは回復するとのこと。
ずっと酸性に傾きっぱなしになるわけではない、というのがポイントです。

白酢は病害予防にどう使う?

ここが今回いちばん大事なところなので、正直にお話しします。
食酢は特定防除資材に指定されていますが、「どんな病気にもよく効く万能薬」ではありません。

そのうえで、農林水産省の通知(特定農薬の留意事項)では、食酢について過去に登録のあった酢酸液剤の内容を参考に、次の範囲が「薬効が認められる対象病害虫等」として整理されています。

種類薬効が認められる対象病害虫等参考となる使用方法
殺菌剤(種子消毒用)稲のもみ枯細菌病、ばか苗病、ごま葉枯病酸度0.1〜0.25%程度に薄めた液に、もみを24時間浸漬

つまり公的な資料で食酢の薬効がはっきり整理されているのは、いまのところ稲の種子消毒(もみの浸漬)の用途です。
トマトやきゅうりのうどんこ病・灰色かび病などについては、公的資料では重曹や電解次亜塩素酸水に薬効が整理されている一方で、食酢にはこれらへの薬効の記載はありません。
「野菜のうどんこ病に酢が効く」という話も耳にしますが、公的データでの明確な裏付けは確認できませんでした。

坂ノ途中の白酢の商品ページでも、うたっているのは「りん酸遊離効果」と「土壌pH低下効果」で、特定の病気への防除効果は具体的にはうたっていません。
ですので白酢を病害予防の観点で使うなら、「特定防除資材として認められた範囲で、補助的な手段のひとつとして、ご自身の判断と責任のもとで試してみる」という使い方がおすすめです。

実際に出ている病気への対処や、作物・地域ごとの具体的な使い方は、お住まいの都道府県の病害虫防除所や普及指導機関に相談していただくのが確実です。

白酢の使い方・散布のタイミング

灌水時100〜300倍希釈
散布時300〜1000倍希釈
頻度7〜10日おきに、月2〜4回の使用が効果的とされています

ひとつだけ現場目線の注意を。
これは白酢に限らず強酸性の資材に共通する一般的な注意点ですが、濃すぎる希釈や真夏の高温時の散布は、葉焼けなどの薬害につながることがあります。
初めて使うときや、作物・生育ステージが変わるときは、まず一部でテスト散布をして、様子を見てから全体に——これが失敗しないコツです。

生産者さんの使い方

兵庫県の野菜生産者さま

植物体を健康にもっていくイメージで使用しています。
有機酸なので、溶けることで水分不足への対策、炭素分の補充にもなります。
また 根、葉から吸わせても効果があります。

なお葉面散布する場合は、濃過ぎると焼けの原因となってしまうので注意が必要です。
特に散布のタイミングが日中だと溶液中の水分が蒸発して濃い成分が葉面に残り葉焼けのリスクが上がるので、散布の隊員ぐは夕方がおすすめです。

茨城県の水稲生産者さま

水稲における食酢の使用目的は、有機圃場において後から出てくる塊茎類雑草の成長阻害です。
昨年、テストの結果、手ごたえを感じたため今年から本格的に導入を行う予定で、1回目はドローンを使い散布、2回目はセット動噴で散布しようと考えております。

80ℓ/反、酸度2.5%が良く効いていたので、その量で散布する方法として、方法は動噴を採用して、散布を行おうと考えている。

使うときの注意点

有機JASについて:白酢は有機JAS適合資材で、資材証明書の発行が可能です。
ただし認定圃場で使う場合は、念のため使用前に登録認証機関へご確認ください。

保管について:強酸性なので、金属製の容器・器具の腐食に注意し、子どもの手の届かない場所で保管してください。
目や口に入らないよう、取り扱いにもご注意を。

注目商品「白酢」

白酢

① 白酢

酢酸10%の濃厚な醸造酢「白酢」。
特定防除資材として、また土壌のりん酸利用効率やpH調整の補助として活用いただけます。

高濃度(酢酸10%)なので、散布では300〜1000倍まで薄めて使えます。
有機JAS適合(資材証明書発行可)の資材が20Lで3,750円(税込4,125円)・送料無料と、大容量でコストを抑えやすいのも、現場で使い続けるうえでは嬉しいところです。

≫白酢の詳細・ご注文はこちら

※ご使用について:実際に発生している病害虫への対処や適用は、まず都道府県の病害虫防除所へ、有機JASの取り扱いは登録認証機関へご相談ください。作目ごとの資材選びのご相談も承っています。

まとめ

農業用の白酢は、酢酸10%の濃厚な醸造酢で、国に指定された特定防除資材です。
土壌のりん酸利用やpH調整の補助として使え、有機JASにも適合(資材証明書発行可)。

一方で、病害への効果は「万能」ではなく、公的に整理されているのは稲の種子消毒の範囲——このあたりを正しく理解したうえで、補助的な一手として上手に取り入れるのがおすすめです。

ご購入希望やご質問は、LINEよりお問い合わせください!

白酢の使い方や、圃場に合った資材選びのご相談は、LINEでも承っています。
お気軽にご連絡ください、お待ちしております!

LINEお問い合わせ

よくある質問

Q. 農業用の白酢と、食用のお酢は違うものですか?

A. 原料(穀物・果汁など)を発酵させた醸造酢という点では同じ仲間です。ただ農業用の白酢は酢酸濃度が高めで、坂ノ途中の白酢は酸度10%と、一般的な食酢の約2倍の濃さです。

Q. 白酢は有機栽培で使えますか?

A. 坂ノ途中の白酢は有機JAS適合資材で、資材証明書の発行が可能です。認定圃場でお使いの場合は、事前に登録認証機関へご確認ください。

Q. 白酢はどんな病気に効きますか?

A. 食酢は特定防除資材ですが、農林水産省の資料で薬効が整理されているのは、いまのところ稲の種子消毒(もみの浸漬による、もみ枯細菌病・ばか苗病・ごま葉枯病対策)の用途です。野菜のうどんこ病などへの効果は、公的データでの明確な裏付けは確認できませんでした。具体的な適用は都道府県の病害虫防除所などにご相談ください。

Q. 白酢は登録農薬ではないのに、使っても大丈夫なのですか?

A. 食酢は国に指定された特定防除資材なので、農薬登録がなくても防除に使うことが認められています(登録が保留されている資材とは扱いが異なります)。ただし、公的に認められた薬効の範囲を超える効果を断定してうたうのは避けましょう。

Q. 使うと土が酸性になりすぎませんか?

A. 商品ページの記載では、有機酸のためpHの低下は2日ほどで、その後は微生物に分解されて土壌に残らず、pHは回復するとされています。ただし連用時や土壌条件によって影響は変わるので、心配な場合は少量から試してみてください。

参考・引用元

・農林水産省「特定農薬とは?」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tokutei/about_tokutei.html

・農林水産省「特定防除資材(特定農薬)として指定された資材に関連する情報提供について」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tokutei/tokutei_list.html

・農林水産省「特定農薬(特定防除資材)として指定された資材(天敵を除く。)の留意事項について」(平成26年3月28日/別紙4 食酢)
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tokutei/pdf/h26tokuteinouyaku_tennteki_igai2.pdf

・農林水産省「農薬の販売・使用の禁止」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kinsi/index.html

・坂ノ途中の資材販売「白酢」商品ページ
https://saka-shizai.i17.bcart.jp/product.php?id=22

新着情報一覧へ